『同棲生活』あとがき2



 このお話を書き始めた頃を遠い昔のように感じます。
 遥たちが過ごしていた時間はたった半年。それを書き上げるのに要した私の時間、一年と五ヶ月。
 当初は十話で完結する予定だったのに、私自身まだ書き足りなかったことと皆さんの応援のおかげで三十話を完結することが出来ました。ありがとうございます。
 昔のことすぎて、どうしてこのお話をこのような形で書きたかったのかあまり覚えていません。ただ当時の私は「近親相姦」と「年下の男」という設定にハマっていたので、ただ単に自分でも書いてみようと、とても軽いノリだったようにも思います。そんな作品なのに、多くの方から感想をいただいたり、「お気に入り」だと言ってくださったり、とても幸せな作品を書けたことを私もとても幸せです。
 小説を書く、ということを始めて、かれこれもう八年も経つのに私は未だに小説の書き方が分かりません。何も意識せずに書いているのに皆さんから支えられて、でもこの先も今までと同じように小説書けるかどうか分からないという状況はとても不安でした。
 第一話と第三十話の雰囲気が違ったとしても、私にはどうしていいのか分かりません。向上しているのか後退しているのかも分からない。幸せすぎて怖いっていうのはこういうことなのかな、と密かに思ったりもしました。


 一年と五ヶ月。この間に私の生活の中でもさまざまなことがあって、時間軸はまるで違うけれど、遥たちと同じように私もちゃんと前へ向かって歩いてこれたのかなと冷静に思い直しているところです。答えは微妙なんですけれどね。
 前を向くことだけが大切じゃない。後ろを振り返ったっていい。こわがったっていい。ただその勇気と覚悟を大事にしてあげて。上手に生きれない自分を愛してあげてください。
 私も頑張って、この先も時間に流されないように生きていきたいです。


 もう孝則と由希を書くことはないだろうけれど(さすがに疲れたので)、でも遥と知樹の未来を思ってやみません。数年後、遥はまだ派遣会社で働いているのかな、とか。何より知樹の将来像を見てみたいです。なので、続編を書かせていただきます。
 でもその前に、今日から連載スタートした『RAINBOW』を書きます。『同棲生活』の番外編にもあたるお話です。時代背景に困惑しておりますが、やっぱり私は知樹を愛しているし、知樹の両親を書きたい気持ちがあったので、これから十話、よろしかったらお時間のあるときにお付き合いいただけたら嬉しいです。
 本編は終わってしまったけれど、私の中ではまだまだ生きています。
 皆さんの心にもこの四人が生きていてくれたら、これほど嬉しいことはないです。


 さて、四月も中旬に差し掛かりましたが、私の住んでいるところでは桜の満開が昨日だったようで(苦笑)。でもまだ綺麗です。明日お花見に行くので、とても楽しみです。
 桜はあっという間に散ってしまって、だからこそ儚いのかもしれませんね。幼い頃から感受性が乏しいと言われ続けた私も、桜を見ると綺麗だと思います。そういう感情が自分にもあるんだと気付いたのは十六歳のとき。とても嬉しかったのを今でも覚えています。
 桜の命は短いけれど、私たちの寿命は長いです。
 満開になることもあるし、しぼみかけることもあるけれど、太陽や水によってきっとまた咲くことができますよね。

 あなたの花が、美しく咲き誇ることを祈って。



 2006年4月14日  パンプキン





   
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