この話の時間軸はアニメ終了から一年後くらいだと思いながら書きました。
しつこいですが、作者の妄想です。
ご了承くださった方は下へドウゾ。








Another Sky



 I miss you.


 信じるって難しい。


 I have to believe, however.

 So, I need ××.



「ウィンリィ、ウィンリィってば!」
 はっと我に返ると、大きな瞳でアルがあたしの目を覗き込んでいる。
「大丈夫? なんかボッとしていたみたいだけど」
「・・・うん、大丈夫。ごめんね、今からちゃんと仕事するわ」
 あたしは椅子から立ち上がってアルの頬に触れると、アルは微笑んだ。同じ兄弟でも似てないもんだなと思う。アルの笑い方には癖がなくて、多くの人に愛されるのだろう。
「ボク、ロゼと一緒に散歩に行って来るよ」
「そう。気をつけてね」
 あたしが言うと、アルは心配している表情を隠さないであたしの袖を引っ張る。
「・・・ウィンリィ、あんまり無理しないでね」
 三年前と同じ姿形なのに、あたしの知っているアルとは少し違う。アルとあたしの願いは一致しているようで弱冠異なる。
 アルはそのまま走ってドアを出て行った。高い声でロゼを呼ぶ声が聞こえる。あたしの瞳の裏に残像が映る。髪、伸びたな。改めて感じる。
 なびく髪の毛を見ると、胸が痛い。
 願いはただひとつ。


 I wanna close to you. ・・・ever.


 仕事をしていても集中できず、あたしは窓の外を見つめる。青空が広がっていた。
 あれから一年。
 アルは錬金術を学んでいる。エドを探したいと真剣な目で語っていた。
「・・・一年、か」
 何気なくつぶやいてみる。あたしの声は静寂の漂う空間へと消えてしまって、虚しい。まだアルたちは散歩から帰ってこないのだろうか。ばっちゃんは買い物に行っているし、ときどき一人でいることに苦痛を感じる。
 そんなとき、思い浮かべるのはばっちゃんでもアルでもない。
 ただ一人。
 生きているかどうかも分からないのに。
 信じるのは難しいのに。

 それでも、生きているのだと悟ってしまった。


 儚く青い空は、今現在もエドのいる世界まで繋がっているのだろうか。
 そうだったらいい。そしたらきっと、また会える可能性が広がるから。
 両手を合わせて願う。


 I hope so・・・.


 空を仰ぐ。
 明日はどんな表情を示すのか分からないけれど、馬鹿みたいにただ待っていることしか出来ないあたしを、空は嘲笑ったりしない。
 それどころか、あたしの瞳に焼き付けてくれる。



 His smile touched the sky.



 今日も、エドのいる世界の空を想おう。
 いつか、再び会える日を願いながら。


 
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